館長ブログ「館話本題」
館話本題⁑48 小学校教育課程特例校「ごさまる科」
館話本題とは・・・護佐丸歴史資料図書館の館長が日々徒然をつぶやくブログコーナーです。図書館での日々、中城村のこと、読んだ本のことなど、館長が自由に語っています。今年度の更新も本記事を含めて残すところあと3回です!
館話本題 四八
「学校でもっと琉球史を教えてくれたら良かったのに」という声をよく耳にする。
琉球史についてあまり知らないことに対する自戒の念であったり、また、子どもたちに教えて欲しいという願望のようなものであったりする。
地域に対するこのような思いは、沖縄だけに限ったことではなく他の都道府県の場合も同じような状況であろう。
ただ、他の都道府県の場合は、それぞれの地域の歴史自体が日本史そのものの舞台の一コマであり、歴史の流れの構成要素でもあるだけに、日本史の大枠を理解すれば各地域の流れもある程度はすり合わせができる。
ところが沖縄の場合は、薩摩藩の琉球侵攻とか明治政府による琉球処分、沖縄戦などがトピックとして取り上げられることはあっても、日本史の舞台とはほとんど縁のない地域であり、そもそも日本史に包摂されるのかどうかという議論がおこるほどの独自の歴史を持つ。
したがって、日本史の教科書を勉強しても沖縄が見えるわけではない。
冒頭のような声が聞かれるのは、琉球史の特異な歩みを考えれば無理からぬことである。
話は変わるが、わたしが中学生の頃(1960年代中ごろ)、『琉球の歴史』という上・下2巻セットの副読本・歴史の教科書があった。
初版は1952年7月、著者は「おもろさうし」や沖縄の古謡など沖縄研究で有名な仲原善忠。
発行者は琉球政府文教局。何版か重ねられているが、発行者は琉球郷土史研究会、琉球文教図書へと変わっている。
通史としては体系的な時代区分のもとにまとめられるなど画期的な歴史教科書だった。
ただし、実際にその教科書を使った授業がおこなわれていたのかどうか記憶にない。
あるいは何時間か時間をとって教えていたのかも知れないが、残念ながら私自身、関心がなかったので覚えていないだけかも…。
現在、中城村の小・中学校では「ごさまる科」という正規の琉球史(地域史)の授業がおこなわれている。
県内で初めての取り組みである。
この「ごさまる科」は教育課程特例校制度の承認を受けて、平成26年度から村内の3小学校で実施されており、護佐丸や中城城跡を通して地域の歴史を学び、愛着と誇りを育むことをねらいにしている。
年間の授業時数は1・2年生10時間、3・4年生12時間、5・6年生15時間。
学年ごとに副読本が作成されている。
中学校でも『ありんくりん』が作成されている。
学校での授業のほか、中城城跡を訪ねてグスクの構造や特徴、当時の中城の状況等について学んだり、当館の歴史資料展示室で地域のおおまかな歴史を調べたりしている。
中城村の取り組みは沖縄だけでなく全国的にも特筆されるのではないか。
子どもたちが地域の歴史に触れることで、自分たちの地域に愛着や誇りを持てるようになって欲しいと願っている。
館話本題 四八
小学校教育課程特例校「ごさまる科」
「学校でもっと琉球史を教えてくれたら良かったのに」という声をよく耳にする。
琉球史についてあまり知らないことに対する自戒の念であったり、また、子どもたちに教えて欲しいという願望のようなものであったりする。
地域に対するこのような思いは、沖縄だけに限ったことではなく他の都道府県の場合も同じような状況であろう。
ただ、他の都道府県の場合は、それぞれの地域の歴史自体が日本史そのものの舞台の一コマであり、歴史の流れの構成要素でもあるだけに、日本史の大枠を理解すれば各地域の流れもある程度はすり合わせができる。
ところが沖縄の場合は、薩摩藩の琉球侵攻とか明治政府による琉球処分、沖縄戦などがトピックとして取り上げられることはあっても、日本史の舞台とはほとんど縁のない地域であり、そもそも日本史に包摂されるのかどうかという議論がおこるほどの独自の歴史を持つ。
したがって、日本史の教科書を勉強しても沖縄が見えるわけではない。
冒頭のような声が聞かれるのは、琉球史の特異な歩みを考えれば無理からぬことである。
話は変わるが、わたしが中学生の頃(1960年代中ごろ)、『琉球の歴史』という上・下2巻セットの副読本・歴史の教科書があった。
初版は1952年7月、著者は「おもろさうし」や沖縄の古謡など沖縄研究で有名な仲原善忠。
発行者は琉球政府文教局。何版か重ねられているが、発行者は琉球郷土史研究会、琉球文教図書へと変わっている。
通史としては体系的な時代区分のもとにまとめられるなど画期的な歴史教科書だった。
ただし、実際にその教科書を使った授業がおこなわれていたのかどうか記憶にない。
あるいは何時間か時間をとって教えていたのかも知れないが、残念ながら私自身、関心がなかったので覚えていないだけかも…。
現在、中城村の小・中学校では「ごさまる科」という正規の琉球史(地域史)の授業がおこなわれている。
県内で初めての取り組みである。
この「ごさまる科」は教育課程特例校制度の承認を受けて、平成26年度から村内の3小学校で実施されており、護佐丸や中城城跡を通して地域の歴史を学び、愛着と誇りを育むことをねらいにしている。
年間の授業時数は1・2年生10時間、3・4年生12時間、5・6年生15時間。
学年ごとに副読本が作成されている。
中学校でも『ありんくりん』が作成されている。
学校での授業のほか、中城城跡を訪ねてグスクの構造や特徴、当時の中城の状況等について学んだり、当館の歴史資料展示室で地域のおおまかな歴史を調べたりしている。
▼「ごさまる科」副読本(小学1年~6年用)▼
中城村の取り組みは沖縄だけでなく全国的にも特筆されるのではないか。
子どもたちが地域の歴史に触れることで、自分たちの地域に愛着や誇りを持てるようになって欲しいと願っている。
ブログ文責:村吉館長