中城村護佐丸歴史資料図書館

平成28年5月30日(ごさまるの日)オープン!!
中城村の英雄「護佐丸」や世界遺産・中城城跡をはじめ、琉球史が学べる歴史資料図書館です。本ブログでは、当館の企画展やイベント情報、活動様子などを紹介します。
★休館日:毎週火曜日、毎月第3木曜日、祝日の翌平日(祝日振替休)
★開館時間:平日・祝日10:00~19:00 土・日10:00~17:00

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てぃーだイチオシ

企画展

企画展のおしらせ

みなさんこんにちは
展示室より企画展のおしらせです。


夏休み特別企画展「みんなの進化展in中城」
開催日:7月22日(金)~8月28日(日) 10時~17時
場所:護佐丸歴史資料図書館 3階企画展示室 ※入場無料です



企画展紹介
 「ヒトとチンパンジーは共通の祖先を持つ“親戚”」という記述に違和感のない方でも、「大腸菌やミドリムシも遠い“親戚”」と言われたら「ちょっと待った!」となるかもしれませんね。
 でも、現在地球上にいる530万種以上ともいわれる生きものたちは、すべて38億年前に生まれた原始生命体の子孫なので、ある意味互いに“親戚”という事になるのです。本企画展では、これ程までに多様な生き物をつくった
「進化」の仕組みについて、ダーウィンの進化論から近年の学問的成果も踏まえて、Q&A方式でわかり易くご紹介します。


(※本企画展は沖縄県立博物館・美術館の令和3年度「みんなの進化展」の解説パネルを借用して開催します)


※都合により、企画展・イベントの内容の変更及び中止・延期を行う場合もあります。その際は、中城村HPと当ブログにておしらせ致します。

夏休みは図書館へGO!🌞
7・8月の図書館はイベント盛りだくさん!





申し込みが必要なイベントについては以下の通りです
図書館カウンターもしくは、お電話でお申し込みください。
※申込は7月1日(水)より受付です。


🌟オカヤドカリの夜間観察会
日時:令和4年7月14日(木) 19:00~21:00(受付18:45)
ところ:(集合)護佐丸歴史資料図書館 (観察)吉の浦海岸
対象:村内在住の18歳以上の方 10名(夜間の活動のため大人のみのご参加です)


🌟はじめてのスペイン語講座(全8回)
日付:①令和4年7月24日(日) ②7月31日(日) ③8月7日(日) ④8月14日(日) ⑤8月21日(日) ⑥8月28日(日) ⑦10月16日(日) ⑧10月23日(日)
時間: 14:00~16:00

ところ:護佐丸歴史資料図書館 2階学習室
対象:高校生以上(村内在住者優先) 15名


🌟動物園で進化を考えよう(企画展関連フィールドワーク)
日時:令和4年7月30日(土) 10:00~12:00(集合9:45)
ところ:沖縄こどもの国(チルドレンズセンター1階入口集合)※現地集合・解散
対象:村内在住の小学3年生以上の親子10組(20名)※2人1組


🌟みんなの進化論入門~身近な自然を進化の視点で~(企画展関連講演会)
日時:令和4年7月31日(日) 14:00~16:00
ところ:護佐丸歴史資料図書館 3階企画展示室
講師:菊川章(沖縄県立博物館・美術館主任学芸員)
人数:40名(村外在住者可)


🌟琉球大学出前講座 夏休み工作教室「ミラクル万華鏡」※定員に達したため申込受付終了しました。
日時:令和4年8月13日(土) 10:00~12:00(集合9:50)
ところ:護佐丸歴史資料図書館 3階企画展示室
対象:村内在住の小学1~3年生 10名 ※必ず保護者同伴です。


🌟吉の浦海岸の生き物たち(企画展関連講演会)
日時:令和4年8月14日(日) 14:00~16:00
ところ:護佐丸歴史資料図書館 3階企画展示室
講師:濱口寿夫(中城村護佐丸歴史資料図書館館長)
人数:40名(村外在住者可)


🌟高校生が紹介する やんばるの生き物たち(企画展関連フィールドワーク)
日時:令和4年8月27日(土) 18:00~21:30(集合17:30)
ところ:(集合)辺土名高校 (観察)辺土名高校とその周辺 ※現地集合・解散
対象:村内在住の小学3年生以上の親子10組(20名)※2人1組

続・館長ブログ「吉の浦だより」

5月30日のこと、久々にカッと晴れた昼過ぎに吉の浦海岸を歩いていると、とても奇妙な光景に出くわしました。第2突堤(浜漁港側から数えて2番目)の斜面に「キバアマガイ」という白い巻貝がたくさん転がっていたのです。まるで誰かがまき散らしたかのように。


吉の浦海岸第2突堤(2022年5月30日、12:52):白い点々がキバアマガイ.

キバアマガイの活動パターンについては、注意して観察したことが無いのであやふやですが、満潮時は波で濡れた岩盤上に出てきて這いまわっている印象です。夜間は干潮時でも活動していたと思いますが、昼間の干潮時は雨の場合のみ出てくるような気がします。晴れた日の昼間の干潮時は岩のすき間に入り込んでじっとしている。


満潮時に活動するキバアマガイ(2010年7月22日、19:25)

第2突堤の貝たちはその殆どの個体が殻口を上に、すなわち仰向けになっており、蓋と体をかなり奥に引っ込めていました。あるいは、この時はまだ生きていたかも知れません(後日死亡を確認)。この日は昼過ぎが最干潮で、しかもカンカン照りでした。このタイミングで潮間帯よりかなり上の岩盤にキバアマガイが転がっているというのは「あり得ない」光景です。はじめはヒトが置いたのかとも考えましたが、「多くの貝類の中からキバアマガイだけを選んでひとつひとつ仰向けに置いていくヒト」というのは極めて想像しにくい。

ヤドカリも貝殻を運びますが、それはカラのものに限られます。今回の場合中身が入っていますので、この可能性はありません。ヒトでもヤドカリでも無いとすると、「貝たちが自ら“高み”を目指して移動し、そこで何らかの故障があって動けなくなった」と考えるしかなさそうです。八甲田山における青森歩兵第5連隊のようなことが“キバアマ連隊”に起こったのでしょうか。

満潮でも海水が届かない高さまで進んだという事は、その時は夜間か雨天だったと考えられます。その後、環境が急に変化して動けなくなるというのは、夜間では考えにくく、昼間の雨天時で急に晴れてきたという状況が疑わしい。ここのところ雨続きだったので、油断して昼間に遠出していたところ、突如天気が良くなり高温乾燥に襲われて立往生したのではないか。


満潮時にも海水が届かない岩盤上に散らばるキバアマガイ(2022年5月30日、12:53)

ここで問題なのは、何故仰向けになったか、そして仰向けになると元に戻れないのかということです。仰向けにならなければ、また、仰向けになっても体勢を復元できるなら、夜や再度の降雨を待って潮間帯の岩のすき間まで移動できたはずです。


雨の日に活動するキバアマガイ(2022年6月17日、12:59):産卵中かも.

キバアマガイの様子を見ると、かなり奥の方に蓋が見えるものが多かった。ということは、殻口付近は空洞で軽くなっており、貝殻の奥の方に重たい体があったことになります。その結果、重心が偏り不安定になっていたのではないか。そして仰向けに転んだ…。のかも知れません。


仰向けになったキバアマガイ(2022年5月30日、12:53):殻口にみえる突起が“キバ”.

巻貝は、仰向けになると復元できないものでしょうか。Ishida and Iwasaki (1999) は、ヒバリガイモドキという二枚貝を食べに来たアクキガイ類(貝を襲う貝です)が、仰向けになった場合、30時間たっても復元できていなかったと報告しています。もっとも、この場合はヒバリガイモドキが「足糸」という粘着→固化する繊維で絡めてアクキガイ類の動きを制限していたので状況は異なりますが、巻貝では仰向けになると戻りにくいケースもあるのかなという気はします。

ここまで読まれた方は、「よくもまあ勝手に盛上れるものだ」と、呆れているかも知れませんね。上の推理は1)昼の雨天時にキバアマガイが潮上帯まであがる、2)突然晴天になると停止する、3)殻の奥に引っ込むと転がる、4)仰向けになると復元できない、と4つの仮定を重ねています。科学の世界では仮定は1つに止めないと、絵空事になってしまいます。「風が吹けば桶屋が儲かる」みたいな。

でも、まあ個人的にはこんなことを考えて楽しんでいます。1)2)は観察、3)4)は実験で確かめられそう。時間が出来たらやってみようかな。

今回、巻貝が仰向けになる現象が報告されていないか調べていたら、Ishida and Iwasaki (1999) の他に、東京都水産試験場が1969年に出した『小笠原諸島水産開発基礎調査報告』にこんな記述がありました。

又疑わしいが、テングガイの方言ヒノデガイは本種が朝早く採集に行くと殻口を上に向けて朝日を仰ぐようにひっくりかえっているので発見しやすく採集が容易であるという。この生態の真偽を古老は否定しているが青年達は信じている。


ふつうは年寄りが迷信深く若者はそれを否定するものですが、「古老は否定しているが青年たちは信じている」というところが面白いですね。テングガイは殻長が20㎝を超える大型の肉食性巻貝で、3~40mの海底に住んでいるそうですが(久保・黒住,1995)、海底に届く朝日を浴びて仰向けに転がっているテングガイを見てみたいものです。

【引用文献】
Ishida, S. and Iwasaki, K. 1999. Immobilization of muricid whelks by byssal threads of an intertidal mussel, Hormomya mutabilis. Venus 58: 55-59.

久保弘文・黒住耐二.1995.沖縄の海の貝・陸の貝.263pp. 沖縄出版,浦添市.

倉田洋二・西村和久・塩屋照雄・三村哲夫.1969.軟体動物とその増殖問題.In: 東京都水産試験場(編) 小笠原諸島水産開発基礎調査報告.pp. 97-129.東京都水産試験場,東京.

(文責:濱口寿夫)
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