館話本題⁑50(最終回) 本の奥付

中城村護佐丸歴史資料図書館

2018年03月31日 09:00

館話本題とは・・・護佐丸歴史資料図書館の館長が日々徒然をつぶやくブログコーナーです。当館の館長に就任して1年。当館の出来事や中城村の話題、読んだ本についてなどなど、いろいろ語っていただきました。今回の更新をもって、「館話本題」は終了となります。ためになる楽しい雑学の数々でした。本当にありがとうございました。


題 五十
本の奥付 ~「館話本題」の最終ページ~


当館に関わることになって1年が過ぎようとしている。
机の目の前のパソコンについて操作の仕方などを説明してもらった際に、当館のブログがあることを知った。
どのホームページもそうだが、いつ見ても同じ内容のものだと見る側は飽きてしまって、アクセスしなくなる。

そんな単純な思いから、「せめて週に1度くらいは更新したほうがいいのではないか」などとポロッと口走ったのが災いして「館話本題」を始めることにした。
毎週土曜日に更新を続け、あれから1年である。
当初は意気込んだが、次第に息切れして、回を重ねるごとに無味乾燥になってきたのではないかと思っている。
今回、目標にしていた50回目になった。やはり、そろそろ潮時であり、一休みすることにした。

最後に何を書こうかと思いあぐねているとき、思いついたのが本の最終ページ。
たいていの場合、書名・著作者名・発行所名・発行年月日などが記されている。
これを奥付と称している。何らかの決まりがあって、それを記しているわけではないが、ほとんどの本にある。

かつては「出版法」(明治26年公布)という法律があって、検閲の必要から記載すべき事項が決められていた。
たとえば同法7条には「文書図画ノ発行者ハ其ノ氏名、住所及発行ノ年月日ヲ其ノ文書図画ノ末尾ニ記載スヘシ」とされ、8条では印刷者についても同じように氏名、住所等を記載するように義務付けられていた。

この「出版法」は戦後廃止されたが、その名残として引き続きかつての奥付の形式が残っているといわれるが、読者に対する出版物の発行責任をはっきりするという意味合いもあることはいうまでもない。と同時に本自体の履歴書・経歴書の役割も果たしている。
初版(第1版)とか第2版、3版あるいは初版第3刷などの表記を見れば、最初に発行したのがいつで、その後、いつ手を加えたのか、あるいは何回印刷発行されたのかが分かるようになっている場合が多い。

仮に同じ本でも「初版第1刷」というものと「初版第2刷」というものは基本的には修正箇所もなくいわゆる同じ本だが、「第2版」などと「版」の前に数字が付いていれば、「初版」とは違う(誤字脱字などの修正や加除がおこなわれている)というのが一般的である。
版にしても刷にしても、それぞれ数が多くなれば印刷・発行をそれだけ重ねているということであり、よく読まれている(利用されている)ということにもなる。

本は本文を読むのも楽しいが、奥付にもまたいろいろな情報が含まれていて、これを見るのも密かな楽しみである。

ブログ文責:村吉館長

関連記事