中城村護佐丸歴史資料図書館

平成28年5月30日(ごさまるの日)オープン!!
中城村の英雄「護佐丸」や世界遺産・中城城跡をはじめ、琉球史が学べる歴史資料図書館です。本ブログでは、当館の企画展やイベント情報、活動様子などを紹介します。
★休館日:毎週火曜日、毎月第3木曜日、祝日の翌平日(祝日振替休)
★開館時間:平日・祝日10:00~19:00 土・日10:00~17:00

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てぃーだイチオシ

続・館長ブログ「吉の浦だより」

2024年4月10日の昼過ぎ、本来の旧暦3月3日より1日早く「浜下り」をして来ました。場所は吉の浦火力発電所の南、泊・伊舎堂地先の海です。この日最も潮が引く時刻は13:49、潮位は-8cm(中城湾港)。昼の干潮としては、1年のうちでも4~5月頃の潮位が最も低くなります。


2024年4月10日13:05.

海岸に着いた時、潮はかなり沖側に引いていました。魚垣(カチ)の上部が干出しているのが見えます。マリンシューズに履き替え作業ズボンの裾をまくって、まず北側の魚垣(泊安里のカチ)を目指します。ジャブジャブと浅瀬を歩くと、海水の温さが心地よく、日差しもまだそれほど強くありません。

魚垣は浅い海に「V」の字型に石を積んでつくる「魚トラップ」で、「V」の尖った方を沖側に、開いた方を陸側に向けて設置します。言葉で説明しようとすると難しくなりますが、航空写真なら一目瞭然ですね。潮が引いて魚が石積みを越えられない状況になった時、2列の石積みの間にいる魚を沖側の「袋」(どん詰まり)に追い込んで捕らえるのです。この辺りには7つの魚垣があり、戦前まで使われていたとのこと。いくつかの魚垣については名称も分かっていて、今回訪れたのは「泊安里のカチ」と「伊舎堂安里のカチ」です(中城村教育委員会,2022)


「泊安里のカチ」(中央の「V」字型石積み).Google Earthの写真より.



「泊安里のカチ」の先端付近.

「泊安里のカチ」に着きました。魚垣の高さは50㎝位でしょうか。かなり潮が引く日でないと魚が石積みの上を越してしまいそうです。肝心の魚ですが、石積みの間を自由に出入りするルリスズメダイの他はあまり見ることができませんでした。唯一の例外は魚垣の真ん中あたりで見た体長20㎝位の黒っぽい魚ですが、近づこうとしたら石積みのところで方向転換し「袋」と反対の方向へ泳ぎ去ってしまいました。かなりの速さだったので種類は分かりません。魚を追い込むにはある程度の人数が必要そうです。


パリカメノコキクメイシ.

石積みの上のサンゴが干出しています。サンゴは陸上では生きていけないものですが、種類によっては年何回かの干潮で数時間干出するようなところに生育しているものが居ます。パリカメノコキクメイシはサンゴの中でも最も浅い海底にいますので、他のサンゴより高温や干出に強いのだと思います。


ルリスズメダイ.

ルリスズメダイは互いに追いかけっこしています。と言っても遊んでいる訳ではなく、雄が自分の縄張りを守ろうとしているのです。雄の近くに居て攻撃されていない個体は雌だと思います。


ヒメシャコガイ.

魚垣よりも岸側の完全に干上がっている場所でヒメシャコガイを見ました。岩に包まれていますが、この貝は成長に応じて岩を削り自らこの様な状況になっているのです。こうなると最早移動できませんね。


ヒメシャコガイの外套膜.

ヒメシャコガイに限らず、シャコガイ類は外套膜に共生藻を住まわせており、共生藻から光合成産物を得ています。なので、どのシャコガイ類も外套膜が日光に当たるよう貝殻のひらいた部分が上を向くように固着しています。ちなみに、より南方に住むオオシャコガイは大型で体重が200㎏を超える個体もあります。これに「ダイバーが足を挟まれて溺れ死ぬ」というお話がありますが、具体的な報告例は見当たりません。殻を閉じるスピードがそれほど速くないこともあり、「殺人貝」のウワサは濡れ衣に過ぎないようです(ナショナルジオグラフィックHP「動物大図鑑(オオシャコガイ)」)


無数の「砂団子」.

さらに岸に近づくと砂地に直径5mmぐらいの「砂団子」が沢山見えてきました。「砂団子」はカニが砂を口に持っていき、その表面についている有機物を食べた後、まとめて捨てたものです。どこかにカニがいるに違いありません。しかも多数!



ミナミコメツキガニの集団.

砂団子帯の端にミナミコメツキガニの集団が居ました。セッセと餌をとりながら(砂団子を落としながら)移動中です。泡瀬干潟のミナミコメツキガニが有名ですが、中城村にもいるんですね。


ミナミコメツキガニの青色個体と黒色個体.

ミナミコメツキガニは黒っぽい個体が殆んどですが、中に青色の個体が混じっています。西表島での研究によると、10月から青色個体が現れ12月~2月の繁殖期には殆どの個体が青色になるそうです。繁殖期が終わった後、黒色に戻るとのこと(Jinno et al., 2020)。なお、体色を変えるには脱皮が必要です。カメレオンの様にはいきません。西表では、4月にはいると青色個体は見られないそうですが、沖縄島では繁殖期にズレがあるのかも知れません。


タマシキゴカイの卵塊.

さらに岸側に移動すると、風船のような形をしたゼリー状の物体がありました。一旦気が付くとあちらにもこちらにも。ずいぶん沢山あります。


タマシキゴカイの卵塊と「砂団子」

これはタマシキゴカイという環形動物の卵塊だそうです。タマシキゴカイは砂泥底にU字型のトンネルを掘って住んでいます。つまり出入口は2つ。卵塊は小さな穴から出ていますので、そのどちらかなのでしょう。


タマシキゴカイ(Arenicola marina). © 2008 Auguste Le Roux.

中城村の海岸にも、よく見るといろいろな生き物がいて面白いですね。

【引用文献】
Jinno, M., Doi, W., Mizutani, A., Khono, H. 2020. Seasonal changes in body color of Mictyris guinotae (Brachyura: Mictyridae). Crustacean Research 49: 133-140.

中城村教育委員会生涯学習課編.2022.戦前の中城.503pp.

ナショナルジオグラフィック. 動物大図鑑(オオシャコガイ).(https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20141218/429096/ 2024年4月18日参照).

(文責:濱口寿夫)

中城村イベント護佐丸体験

GW企画のお知らせです。カニ

身近な海岸にどんな生き物がいるのか知っていますか?
海岸の生き物はとてもかくれんぼが上手です。実はたくさんの貝やカニ類が住んでいますが、人間には見つからないように隠れています。なので、彼らに出会うためには”コツ”がいるのです。
その”コツ”を館長の濱口寿夫が教えますので、一緒に海岸を歩いてみませんか?ヤドカリ


日時:令和6年4月27日(土) 14時~16時(13時45分受付)
集合場所:護佐丸歴史資料図書館
観察場所:吉の浦海岸
対象:小学生以上の村内在住者(14歳以下は保護者同伴でお願いします。)
定員:20名(親子10組) 事前予約制
申込期間:4/12(金)~
図書館へ直接申込み(電話でもOK)
参加申込書は図書館窓口にて配布しています。
持ちもの:帽子、水筒、タオル、濡れてもいい服装、着替え、長靴等、予備のはきもの等

海岸のいきもの観察会

※注意事項※
当日、体調不良の場合は参加をお控えください。
ビーチサンダル等、脱げやすい履物はケガの恐れがありますので、履かないようにお願いいたします。
子どもだけでの参加はできません。必ず保護者同伴でお願いします。
図書館活動の記録のため、観察の様子を撮影させていただく場合がありますので、あらかじめご了承くださいませ。

スタッフ中城村イベント護佐丸歴史資料図書館お知らせ

春休み上映会を開催します🌸🎞今回の上映作品は「映画ざんねんないきもの事典」です。🤗✨✨
入場無料となっておりますので、ぜひこの機会にお気軽にご参加ください。🎉
👇詳細はチラシをご確認ください。


春休み上映会ポスター

日時:3月24日(日) 10時30分開演(10時開場)
場所:護佐丸歴史資料図書館3階 企画展示室




【お問い合わせ】
中城村護佐丸歴史資料図書館
電話:098-895-5302

先週、開催を延期した地域散策「添石の拝所」についてですが、
新たな開催日を決定いたしましたので、下記の通りにお知らせいたします。


中城の地域・字展 添石の関連イベント「地域散策 添石」
開催日:3月20日(水) 14:00~15:30(集合時間:13:30~)
定員:10名
事前予約制(お問合せ:098-895-5302)

※図書館1階カウンターでもお申込みできます。


本イベントでは、中城村の「字添石」に点在する拝所や井戸など11箇所を徒歩で廻ります。各地点では担当職員による解説が行われ、村や拝所の歴史について理解を深めるイベントとなっています。どなたでも無料で参加できますので、ご興味のある方はぜひご参加ください。

現在、参加申込みを受け付けております。
当館一階の図書館カウンターで申込み頂くか、
またはお電話(098-895-5302)でもお申込み可能です。

続・館長ブログ「吉の浦だより」

当館3F企画展示室で中城村の地域・字展「添石」が始まりました。地域・字展は2019・2020年度の「久場」、2022年度の「南上原」に続く第3弾です。



昔、中城城の近くに「添石村」と「照屋村」という2つの村がありました。「添石村」は現在成田山のあるところの裏あたり、「照屋村」は中城城のすぐ南側にあったと考えられています。「琉球国由来記」や「琉球国旧記」といった18世紀前半の書物には、これら2つの村が登場しますが、18世紀末の「琉球国惣絵図」には「添石村」しかありません。さらに、場所も中城城のごく近くではなく、「屋宜村」と「伊舎堂村」にはさまれた現在の位置らしきところに描かれています。

要するに18世紀に「添石村」と「照屋村」が合併し、山から平野部に降りて来たと考えられるのですが、その正確な時期や、「合併」と「移動」の前後関係は判りません。



いつの頃からか添石、伊舎堂、屋宜の北西部分(山の方)には首里系士族の屋取集落が形成され、20世紀に入ってすぐの頃、3村の北西部分が合体し「登又」として分離独立します。字にも合併や独立の歴史があるのですね。どのような事情があったのでしょうか?



香川元太郎さんの中城城のイラストは15世紀中頃、つまり護佐丸が居た時代を想定して描かれています。「照屋村」と「添石村」がみえますね。





添石に伝わる不思議な文化財に「ハチチブラー」があります。ものすごくこわい顔をした鬼の面です。元の面はいつ頃からあったのか不明です。添石の根屋「西門家」に伝えられていたそうですが、沖縄戦で焼失してしまいました。戦後、山田真山に絵を描いてもらい、その絵をもとにして1976年に現在の鬼面が作られました。真山は、絵を描く際に住民から聞き取りしてイメージを掴んだと言いますので、絵は元のハチチブラーの雰囲気を伝えていたのではないでしょうか。そして、真山の絵をもとにして作られた現在のハチチブラーは、戦前のものと大きくかけ離れてはいないような気がします。



平成22年、ハチチブラーの祭祀をするときにこの面をつけてかぎやで風を踊りました。その後、何回かかぎやで風が躍られたそうです。ものすごくこわい鬼がかぎやで風を舞うという…。是非一度見てみたいものです。

添石は戦前戦後とも海外移民を多く輩出しています。ペルー出身で現在栃木県に暮らしている屋宜ダリオさんは、1926年に添石からペルーに渡った屋宜蒲戸さんのお孫さんです。先日、当館を訪問され親戚の屋宜正一さんと対面して話に花を咲かせていました。正一さんの持っていた写真にこどもの頃のダリオさんが写っていて大感激でしたが、今回その写真も展示させて頂いております。



その他、与喜屋ノロや戦後の収容所、旧公民館の話など、興味深い添石の歴史を紹介していますので是非ご覧下さい。会期は2月23日~3日24日です。




(文責:濱口寿夫)

スタッフ中城村イベント護佐丸歴史資料図書館お知らせ

上映会開催のお知らせです!📽
たまには、図書館で本を読むだけでなく、映画を楽しんでみませんか。😉✨
申込不要先着30席となります。
入場無料となっておりますので、どうぞお気軽にご参加ください。🎵🎶

梅切らぬバカ
作品:「梅切らぬバカ」
日時:2月28日(水) 14時開演(13時30分開場)
場所:護佐丸歴史資料図書館3階 企画展示室


PLAN75
作品:「PLAN75」
日時:3月6日(水) 14時開演(13時30分開場)
場所:護佐丸歴史資料図書館3階 企画展示室



【お問い合わせ】
中城村護佐丸歴史資料図書館
電話:098-895-5302

続・館長ブログ「吉の浦だより」

当館3F企画展示室で中城村出身の写真家大城信吉さんの写真展が始まりました。「ミャンマー寸描」(2018)、「ブータン寸描」(2021)に続く「幸せの原点「子宝」」シリーズの第3弾は「ベトナム寸描」です。



ベトナムの少数民族のこどもたちと、それを優しい表情で見守る大人たちを中心とする写真の数々が展示されています。ベトナム社会にも困難な課題が様々あると思いますが、写真の中のこどもたちの表情は明るく、幸せそうですね。



日本では、近年習い事以外で「こどもが群れて遊んでいる」風景を見かけませんが、昔はこうだったなあと思い出しました。外国の写真ですが懐かしいような気持になります。



殆んどの写真は、都会ではなくベトナム北部の山岳地帯で撮影されています。自ら現地まで行くのはなかなか難しい世界の一端をみることができる写真展ですので、是非、足をお運びいただければと思います。





映画上映や「おはなし会」も開催されます。「梅切らぬバカ」は、高齢の母(加賀まりこ)と中高年の息子(塚地武雅)の二人暮らしの日常を描いたお話し。「PLAN 75」は、75歳以上の人に自らの生死の選択権が与えられる社会における、一人暮らしの高齢者(倍賞千恵子)の生き方や決断を描いた作品です。私自身、どちらも関心のある映画なので当館で開催されてラッキー!と思っています。



定例おはなし会は毎月第2日曜日の午前10:30から1F資料図書室で開催しています。





その他、季節や世間の話題等に応じたミニ展示は、内容を入れ替えながら常に何かしら行われています。護佐丸歴史資料図書館まで足をお運び、新たな情報に触れて頂ければと思います。

(文責:濱口寿夫)

中城村イベント護佐丸歴史資料図書館お知らせ

村内小中学校の児童生徒が一生懸命かいた絵や作文を護佐丸歴史資料図書館で展示します😊✨
ぜひこの機会に、子ども達の作品をご覧ください。👏

多くの皆さまのご来館をお待ちしております❣🤗

【期間】2024年2月9日(金)~2月23日(金)
    ※ただし、2月13日、14日、15日、20日は休館です。
【時間】午前10時~午後5時まで
【会場】中城村護佐丸歴史資料図書館 3階企画展示室
【参加費】無料


作品展


【お問い合わせ】
中城村護佐丸歴史資料図書館
☎098-895-5302


続・館長ブログ「吉の浦だより」

3F企画展示室では、12月23日まで村教育委員会生涯学習課文化係が開催していた「城熱中城(香川元太郎城郭原画展・中城城跡の逸品展)」の撤収作業が行われています。企画展が終わった後はいつも少し寂しい感じを覚えます。



寒いですが天気が良いので、吉の浦公園から海岸の方へ歩いて来ました。テニスコートの傍らに、「平和の風(西村貞雄先生の彫刻)」、「慰霊之塔」、「平和の波(村出身戦没者刻銘碑)」があります。これらは以前、添石の老人福祉センター敷地内にあったのですが、同センターの閉鎖に伴い移設されました。



海岸では、気温より温度の高い海水と陽光の照り返しの影響で、暖かいというより暑いほどです。ウィンドブレーカーを脱ぎYシャツで、それでも暑くて腕まくり。寒い日でも、海岸林を越えて水際に出ると気温がクッと上ることが多く、「吉の浦海岸は熱帯だ」と思ったりします。周辺の植物や海中の生き物にもインド・太平洋の熱帯域に共通な種がたくさん住んでいますし。



歴史資料図書館ではツワブキが見頃です。常緑で、花が少なくなる冬に咲くので鑑賞用として重宝されます。中城城跡にもたくさん生育していますね。戦争証言を読むと「ツワブキを食べた」という話がたくさん出てきます。どんな味なのでしょうか。当時は美味い不味いは二の次だったでしょうが。



2023年の営業は本日(25日)と明後日(27日)の2日間になりました。今年もお世話になりました。新年は1月4日から開館となります。皆さま良いお年をお迎えください。



(文責:濱口寿夫)
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